こんにちは。吉川です。

 

カルロスゴーン氏の逮捕が世間を騒がせています。彼の一連の所業の解明と相応する処罰については今後司法機関等が粛々と進めていくと思いますが、せっかくの話題ですので、今回は私が個人的にカルロスゴーン氏から学んだことについて書きたいと思います。


まず私はいわゆるビジネス書の類のものが大嫌いで、必要な専門書以外は基本的に読みません。しかし私にも若かりし頃がありまして、生まれて36年間で一度だけ、こうした本をまとめて読み漁った時期があります。新卒の就職先が決まった後の学生最後の夏休みです。2005年です。まさにゴーン氏の手腕により日産がV字回復を遂げ、ゴーン氏がカリスマ経営者として日本社会でもてはやされていた頃です。

 

※なお今回の逮捕の件と、当時倒産寸前であった日産を事実復活させたことは全く別の問題で、それは当然に評価されるべきだと私は思ってはおりますが、この点は今回の趣旨ではないので特に触れません。

 

さて、その頃読んだいくつかの本の中に、カルロスゴーン氏の自伝のようなものがありました。もうタイトルも忘れてしまいましたが、その本の中にとても印象的な言葉が書いてあり、この手の事柄に関してはものすごく珍しく、その後の私の仕事観に影響を与え、今でもとても大切にしております。

 

「最も優れたリーダーは、とても難解で複雑な事柄を、最も簡単に誰にでもわかるように説明する。」

 

細かい表現は忘れましたが、おおよそこんな感じです。逆に、あえて専門用語を連発し難解な言い回しを使うことで常に相手より優位に立とうとし、煙に巻くことで相手を支配するスタイルを、最低のリーダーシップであるとも言っていたように思います。皆様の身近のリーダーを思い浮かべてみると、なるほど然り、思い当たるところがあるのではないでしょうか。また、これは会計士や税理士といった専門家にも大いに当てはまると思っています。

 

分かりやすいところだと、昔からよく言われる話ですが、家電量販店の販売員の方のケースでしょうか。PCとかを買いに行って、よく分からないから質問しているのによく分からない専門用語で説明されてより一層分からなくなり、結果として不信感ばかり募るというやつです。(とはいえ教育の賜物か、家電量販店では最近めっきりそういう方には会わなくなったような気がしますが。)

 

私は監査法人に4年弱、その後リクルートで監査法人とよくお付き合いのある部署に5年弱おりまして、その間多くの会計士等の専門家と会ってきましたが、はっきり言ってこの点を理解していない専門家はあまりにも多いです。これは自身が監査法人にいると案外気付けないのですが、事業会社にいるととても顕著に分かります。事業会社の立場からすると、例えば監査法人の方と長い間プロジェクトでご一緒したとして、自然と周囲の信頼が集まるのは、専門用語に頼らず、常に事業会社の目線に立ち、現場で営業をしている方々にまでしっかりと分かる言語でコミュニケーションを取ることができる人物です。いかに肩書が偉かろうが全く関係ありません。

 

私自身、リクルート時代は組織内会計士でありましたが、この点を常に意識していました。いかにかみ砕いて分かりやすく伝えるか、決して「べき論」に終始せず、あるべき姿を提示した上で、現実的に物事を進めるためにどのように組織全体を巻き込んでいくか、そのためのコミュニケーションをどう設計するか、そんなことばかり考えていたように思います。それが功を奏したのか、これまで何百人という会計士に会ってきたであろう当時の経理室長をして「これまで会った中で最も会計士っぽくない会計士」という、私としては素晴らしい誉め言葉を貰うことができました。

 

この考えは独立して事務所を立ち上げてからも、常に私の根底にあります。専門的な内容を、いかに専門用語を使わず単純化して分かりやすく伝えるか、これを非常に重要なことと捉え、日々お客様と接しています。業界的に当たり前の言葉や言い回しが世の中から見ても本当に当たり前なのか、これを問い続ける必要があります。

 

当然のことですが、経営者の皆様は日々や会計や税務のことばかり考えているわけではなく、これらは膨大にある経営に関する事象のほんの一部に過ぎません。いちいち細かく勉強しないでしょうし、する必要もありません。これを理解せず当たり前のように会計や税務の専門用語を頻発する税理士など、一体誰が信頼するのでしょうか。少なくとも私が顧客側であれば、全く相手にしないでしょう。

 

以上、カルロスゴーン氏と関係ありそうで結局あまり関係なかったのですが、私のこれまでと、そしてこれからの仕事観の重要な部分を形成する考え方の紹介でした。

 

 

SkyWalkについて、気になった方は是非公式ウェブサイトもご覧ください。

https://skywalktax.jp/

 

ではでは。(吉川周佑)