こんばんは。吉川です。
以前にこちらで海外企業との会議で気を付けるべき点について書きました。
今回はもう少しマニアックに、海外企業とのメールでのコミュニケーションで気を付ける点(というか多くの日本企業との違い)について書きたいと思います。
前回同様、あくまでも私自身の経験をもとに書いており、これが絶対に真実ということでは全くありませんので、その点ご留意ください。それでもそれなりの数のサンプルに基づいていますので、傾向としてはあながち間違っていないのではないかと思います。
また、今回のケースもタイトルでは「海外企業」と一括りにしておりますが、実際は欧米型、特に北米企業に傾向が強いように思います。東アジアや東南アジアはどちらかというと日本企業寄りのような印象です。
さて本題です。皆さんメールのCCって使いますか?私の経験上、日本企業の皆さんは(傾向として)CCが大好きです。特に大企業に勤めている人にその傾向が強いように思います。
色々便利ですよね。単なる情報共有であったり、あるいは消極的な決済の要求(つまり無反応なら承認とみなしますよというメッセージ)であったり、場合によっては組織内の上役をCCに入れることで「私がメールで言っている内容は〇〇さんの後ろ盾があるんですよ!」と権威をかざしたり、とにかく様々です。「私仕事しているんですよ!」のアピールにも多々用いられるように思います。
かくいう私は個人的にはあまりこのCC文化が好きではないのですが、それでもやはり便利ですし、郷に入っては郷に従えということで、これまで様々な場面でCCを使ってきました。
ただこれ、私の経験上欧米、特に北米系の会社だとなかなか理解されない習慣です。
最初に違和感を覚えたのは、北米子会社の担当者(現地国籍)とのやり取りで、特に意識せずにこちらの上役と先方の責任者をCCに入れてメールを送ったのですが、返信の際に必ずCCの宛先が一部消されてくるということがありました。しかも、あえてこちらの関係者の一部を宛先CCに残した形で返信してきており、明らかに意図があってのことでした。
その後もこの担当者に限らずこうしたことがしばしばあり、なんとなく気になっていたので出張で現地に行った際に雑談の中で聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきました。
・彼らの会社では上から下まで各自の職掌はJob Description (職務要件)で定められている。
・従って、自分の責任の範囲では必ず自らの責任で考え判断をし行動をする。(そうでないとクビが飛ぶ)
・確かに情報共有という目的でCCを使うことはなくはないが、あまり積極的に用いることはない。
これはなかなか興味深いことで、単なるメールのCCの利用方法の違いが、実は日米間の職務に対する考え方であったり、労働に関する慣行の違いに根付いている、ということです。
言われてみれば確かにそうで、多くの日本企業は(文書は勿論あるが現実問題として)決裁権限が曖昧であったり、従って行動に対する責任の所在が不明確であったりして、だからこそ多くの人をCCという形でメールに登場させることで利害関係者をまとめて強引に巻き込み、宛先に入っている人たち全員を「責任を明言したかはともかく少なくとも容認した人たち」として、ある種の責任を持たせるというような、そうした意味合いがあるように思います。
こうしてみると切り口は違えど、前回の「会議編」の違いと根本では通じるところがあります。欧米企業が責任の所在を明確にし、それを拠り所として各自が自らの職を守る一方、多くの日本企業は責任の所在をあえて曖昧にすることで、リスクが発現した際には皆でそれを乗り越えようとする、そうした慣行の違いがあるように思います。
勿論、どちらが良い悪いの問題ではありません。単なる「違い」です。欧米型が上手く機能するケースもあれば日本型が上手く機能するケースもあるでしょう。
前回の「会議編」とは異なり、別に日本企業の担当者がCCに宛先満載で海外企業の担当者にメールを送ったところで、もしかしたら「なんじゃこりゃ?」とは思われるかもしれませんが、大した実害もないでしょう。
それでも、こうした違いがあり得るということを理解した上でコミュニケーションをとることで、今より少しだけ、より良い関係を築くことができるかもしれません。思い当たる節のある方は是非この「違い」を意識して、これまでよりもちょっと気の利いたコミュニケーションをとるように心がけてみてください。
SkyWalkについて、気になった方は是非公式ウェブサイトもご覧ください。
https://skywalktax.jp/
ではでは。(吉川周佑)
以前にこちらで海外企業との会議で気を付けるべき点について書きました。
今回はもう少しマニアックに、海外企業とのメールでのコミュニケーションで気を付ける点(というか多くの日本企業との違い)について書きたいと思います。
前回同様、あくまでも私自身の経験をもとに書いており、これが絶対に真実ということでは全くありませんので、その点ご留意ください。それでもそれなりの数のサンプルに基づいていますので、傾向としてはあながち間違っていないのではないかと思います。
また、今回のケースもタイトルでは「海外企業」と一括りにしておりますが、実際は欧米型、特に北米企業に傾向が強いように思います。東アジアや東南アジアはどちらかというと日本企業寄りのような印象です。
さて本題です。皆さんメールのCCって使いますか?私の経験上、日本企業の皆さんは(傾向として)CCが大好きです。特に大企業に勤めている人にその傾向が強いように思います。
色々便利ですよね。単なる情報共有であったり、あるいは消極的な決済の要求(つまり無反応なら承認とみなしますよというメッセージ)であったり、場合によっては組織内の上役をCCに入れることで「私がメールで言っている内容は〇〇さんの後ろ盾があるんですよ!」と権威をかざしたり、とにかく様々です。「私仕事しているんですよ!」のアピールにも多々用いられるように思います。
かくいう私は個人的にはあまりこのCC文化が好きではないのですが、それでもやはり便利ですし、郷に入っては郷に従えということで、これまで様々な場面でCCを使ってきました。
ただこれ、私の経験上欧米、特に北米系の会社だとなかなか理解されない習慣です。
最初に違和感を覚えたのは、北米子会社の担当者(現地国籍)とのやり取りで、特に意識せずにこちらの上役と先方の責任者をCCに入れてメールを送ったのですが、返信の際に必ずCCの宛先が一部消されてくるということがありました。しかも、あえてこちらの関係者の一部を宛先CCに残した形で返信してきており、明らかに意図があってのことでした。
その後もこの担当者に限らずこうしたことがしばしばあり、なんとなく気になっていたので出張で現地に行った際に雑談の中で聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきました。
・彼らの会社では上から下まで各自の職掌はJob Description (職務要件)で定められている。
・従って、自分の責任の範囲では必ず自らの責任で考え判断をし行動をする。(そうでないとクビが飛ぶ)
・確かに情報共有という目的でCCを使うことはなくはないが、あまり積極的に用いることはない。
これはなかなか興味深いことで、単なるメールのCCの利用方法の違いが、実は日米間の職務に対する考え方であったり、労働に関する慣行の違いに根付いている、ということです。
言われてみれば確かにそうで、多くの日本企業は(文書は勿論あるが現実問題として)決裁権限が曖昧であったり、従って行動に対する責任の所在が不明確であったりして、だからこそ多くの人をCCという形でメールに登場させることで利害関係者をまとめて強引に巻き込み、宛先に入っている人たち全員を「責任を明言したかはともかく少なくとも容認した人たち」として、ある種の責任を持たせるというような、そうした意味合いがあるように思います。
こうしてみると切り口は違えど、前回の「会議編」の違いと根本では通じるところがあります。欧米企業が責任の所在を明確にし、それを拠り所として各自が自らの職を守る一方、多くの日本企業は責任の所在をあえて曖昧にすることで、リスクが発現した際には皆でそれを乗り越えようとする、そうした慣行の違いがあるように思います。
勿論、どちらが良い悪いの問題ではありません。単なる「違い」です。欧米型が上手く機能するケースもあれば日本型が上手く機能するケースもあるでしょう。
前回の「会議編」とは異なり、別に日本企業の担当者がCCに宛先満載で海外企業の担当者にメールを送ったところで、もしかしたら「なんじゃこりゃ?」とは思われるかもしれませんが、大した実害もないでしょう。
それでも、こうした違いがあり得るということを理解した上でコミュニケーションをとることで、今より少しだけ、より良い関係を築くことができるかもしれません。思い当たる節のある方は是非この「違い」を意識して、これまでよりもちょっと気の利いたコミュニケーションをとるように心がけてみてください。
SkyWalkについて、気になった方は是非公式ウェブサイトもご覧ください。
https://skywalktax.jp/
ではでは。(吉川周佑)
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